しかばね
作詞作曲:熊谷淳
からっぽの容れ物はその軽さに耐えられないでいる
夕日はあまりにも赤く本来の色を誤魔化している
その赤よりも赤い血で目の前が暗くなる
見えにくい物はより見えなくなり無いことになる
いくらか楽になったよう気もするが本当は知っている
刹那的な快楽に溺れそのようなものに貶める
救いの手は未だ現れず身悶えをしながら
いささかインチキとは知りつつもその身をまかす
君はその醜いしかばねをさらすだろう
その時僕は君を救わない
君はそっとしておいてくれと願うが
僕にはそれができないでいる
あの丘の上の公衆便所の落書きは真実だったのかもしれない
落ちる所まで落ちるはずの奈落には底がない
気がついてはみるものの時すでに遅くだれもいない
蠢くのは亡者ばかりでよく知った顔がそこにある
官能的な身のこなし 分かりやすい肉体的快楽
所詮そのようなものと一刻も早く楽になろうとする
確かに輝いていた物は輝くのをやめ闇に紛れ込む
そしていよいよをもって膨大なる残りの時間をこなす
君はその醜いしかばねをさらすだろう
その時僕は君を救わない
君はそっとしておいてくれと願うが
僕にはそれができないでいる
そしてまるで自分を抱き締めるように
僕はそのしかばねを抱いている